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2014年度総論

東日本大震災の発生から3年目を迎えた。復興支援ボランティア活動については一定の目途が立ったものとして現地から退く団体が出始めているが、仮設住宅に住まれている住民の心のケアなど、復興に向けての課題はまだまだたくさんある。福島第一原子力発電所事故の対応も遅れており、放射能汚染水の処分が追いついておらず、土壌へ漏れ出す事故も発生した。食品の汚染や子ども達への影響が心配される。
政治の面では、7月に行われた参議院選挙において自民党が圧勝し、単独で改選定数の過半数を超え、非改選議席を合わせると参議院の過半数を確保し、与党が少数の「ねじれ国会」が解消された。
経済の面では、第2次安倍内閣において掲げた、一連の経済政策に対して与えられた通称「アベノミクス」によって日本経済を取り巻く状況が変化した。日経平均株価が1万円を超え大きく回復し、景気の回復が期待されるが、一方で2014年は消費税の増税も決定しており、国民の生活レベルが安定するまでにまだ時間がかかると思われる。
一方、スポーツの世界では明るい話題が続いた。2020年夏季オリンピックの開催都市として、東京が選出され、日本中が大いに沸いた。日本のプロ野球では、パ・リーグの東北楽天ゴールデンイーグルスが球団創設9年目で初のリーグ優勝に輝いた。田中将大投手が開幕から連勝記録を伸ばすなど、安定した力でついにリーグの頂点に上り詰め、東日本大震災で傷ついた東北の人々に元気をもたらした。

フォーゲルとして関わる子どもをとりまく環境も決してよい状態とは言えない。文部科学省による2012年度のいじめ調査結果が2013年12月に発表され、約20万件(2011年度比+約13万件)が認知されていることが判明した。2011年に発生した「大津市中2いじめ自殺事件」をはじめ、いじめ事件がマスメディアによって報道されていることにより、いじめを認知するきっかけが増加したため、認知件数が増加したものと思われる。また、本人からの訴えや学級担任による発見の比率が減少、アンケート調査によって判明する比率が増加していることから、表だったものではなく、陰湿なものが増加し、自ら発信することが困難な環境になりつつあることがわかる。
また近年では、公園においても遊具が撤去されたり「ボール遊び禁止」の看板が立てられたりし、子どもがのびのびと遊び、育つ環境が縮小されてきている。このような環境の中、青少年育成活動が担う役割が大きくなっているのではないか。

教団では、2012年より、「神人あいよかけよの生活運動」が発足された。立教150年を経て、今後一層に立教の意義と精神を確かにしながら、教主金光様がお示しくださった「神人の道」を頂き、一人ひとりの生活の中に神様の喜ばれる信心の実践が現されていくことが願いの基盤にある。2013年は、教祖様が神上がられて130年のお年柄をお迎えした。肉体がなくなったことで、時間や場所にとらわれることなく、「生神金光大神様」とお唱えしておすがりすることによって願う氏子を助けてくださる、永世生きどおしの生神金光大神様のお働きが現されての130年である。
さらに、2014年は教祖生誕200年のお年柄をお迎えした。様々な難儀の中にあっても、信心辛抱、実意丁寧、神信心を進められたことによって天地金乃神様に生かされて生きていることに人間として初めて気付かされた教祖様がこの世に生を受けてからの200年である。このお年柄を通して、改めて教祖様の信心、生きてこられた道を求め頂き、現していくことが必要である。

フォーゲル連盟としてもこの教祖生誕200年のお年柄を頂き、フォーゲルの究極の願いである「教祖様の生きられた道を世界の青少年に伝える」ということを今一度考え、フォーゲル活動を推進していきたい。そして、フォーゲルリーダー、隊員共々に、やがては信心をしておかげを頂いて生きていく人に育っていってほしいと願う。
教祖様の生きられた道は、先に述べた通り、さまざまな難儀にあっても、信心辛抱、実意丁寧、神信心を進められたことによって天地金乃神様から和賀心を頂かれたことである。
現代社会においてもさまざまな難儀がある。どうしようもない苦しみや不安がある中でも神様に心を向けることを継続することで、神様に願われていることに気付かされる。知らず知らずのうちにおかげを頂いていることに気付くことで、ありがたいと感じる心が生まれる。教祖様の生きられた道は今でも変わらず、普遍的なものである。このお道のはたらきを世界の青少年に伝えていきたい。

この教祖様の生きられた道を伝えていくために、次の内容を重点的に取り組んでいきたい。
フォーゲルの活動は信仰教育活動である。信仰の教育は「伝える」というところにある。
「伝える」ということは、物事を深く理解し、自分のものにしなければ実行できない。人から聞いたり、本から学んだりした知識だけではなく、自ら経験したことを通して、人に信心を伝えていきたい。「信心は話を聞くだけが能でない わが心からも練り出すがよい」という御教えもあるように、自ら神様を求めていく中で、実感したことこそ、隊員へ信心を伝えることができるものであると考える。自ら教祖様、天地金乃神様への想い・願いを練り出し、確たるものを自らの芯に持って子どもたちに信心を伝えていきたい。そのためにはまず、自ら神様を求め、御取次を頂くことが必要である。教会での御取次を頂く中で信心の基盤を頂き、天地に生かされて生きている自分であることに気付かされていく。この経験したことをもとにフォーゲル活動を通して隊員へ願い、信心を伝えていきたい。隊員も将来、この隊員を願うリーダーと同じように神様とつながっていき、信心しておかげを頂く人に育っていくようになることが、我々の願いである。

こういったリーダーの姿勢の中で、フォーゲルの基本となる隊活動を改めて意識して取り組んでいきたい。子どもたちが育つのにはとても時間がかかる。そういった隊員に近くで見守り、祈り、働きかけることができる場が隊活動であると考える。ここで言う「隊活動」とは、隊集会といった隊独自の活動だけではなく、教会行事等も含め、隊全体の活動を指す。一人の隊員の成長を、リーダーや隊員同士、教会の先生、信者さん、みんなで喜ばれる環境が、隊員に安心感を作る。その中で認められる喜び、できなかったことができるようになる喜びや自信、そういうものが隊員の成長につながるような活動を進めたい。
しかし、そういった願いの中にあっても、近年は隊員の数が減少している現実がある。ソアリングキャンプや世界大会においても、参加者数が減少の一途をたどっている。部活動をはじめ、塾や習い事など多種多様なライフスタイルがある中で、隊活動への優先度が下がっているのではないだろうか。参加する隊員がおらず、隊単体ではまともに隊集会ができていない隊もある。
そこで、工夫が必要である。近隣の教会の子どもたちを呼んで集会を実施する隊や、リーダーだけでも集会を行い、「いつ隊員が来ても集会を行える体制」を整える隊がある。このように活動を継続して実施することが重要である。フォーゲルに興味を持たなくなったり、他に楽しいこと生きがいを求めたり、フォーゲルに対して反抗期を迎えることもあるだろう。そんな隊員が安心を求めて教会にお参りしたり、集会に参加したりすることで、このお道に導かれることを願う。どんなきっかけや働きが神様からいつ頂けるかはわからない。そのタイミングを逃さず、近くで隊員を祈り、見守り、働きかけ続けることができるのは「いつ隊員が来ても集会を行える体制」が整っている隊活動、隊集会、そして先に述べたようにリーダーの日々の信心ではないか。
隊活動という安定した基盤があることで、他の活動である地方連盟活動や年代別での成長を考えられたサマーキャンプ、神様・教祖様・教主金光様のご霊地に近づいていく世界大会、信仰教育最大の場であるソアリングキャンプなどフォーゲルが培ってきたあらゆる活動に関わりやすくなる働きが生まれてくるのではないか。
こうした隊活動の働きが、隊員が育っていく基盤になると考える。

前段にて述べたが、フォーゲルは隊活動の基盤の上に、各連盟活動がある。
フォーゲルの特質には、昨年取り組ませて頂いた「自主・自立」の他に「連帯」の精神がある。同じ願いを持ち、子どもたちの育成を志す仲間との連帯である。1隊では運営が厳しい状況もある。1隊だけでは感じられないものもある。全国の仲間が集まればより良い活動ができることがある。今を生きる子どもたちが成長していくためには、今を生きる者たちが集い、工夫することが必要である。
その精神をもって、フォーゲルが培ってきたあらゆる活動に取り組み、リーダーと隊員、隊員と隊員、リーダーとリーダーが共に育つ喜びを分かち合い、信心が育つ働きを生みだしたい。
特に今年は4年に1度の全国キャンプ開催予定の年である。近年地方連盟でのキャンプでは、年代別でやろうとすれば隊員やリーダーが極端に少なく、隊員どうしの関わり合いで育つ団体生活ができず、それに伴ってリーダーとしての実力もつきにくいという地方連盟もある。このような時だからこそ、全国から集まり、関わり合いの中で、隊員もリーダーも共に育つ喜び・感動を分かち合い、そのことがまた地方連盟活動、隊活動に広がっていくことを願う。そして、隊員への願いをもってそれに近づけていくためにはリーダーが集まり、隊員への願いを立て、プログラムやマネジメントを綿密に練り、行き届いた準備をさせて頂くことで、お互い切磋琢磨し、より魅力的な活動になるものと考える。

この教祖様の生きられた道を伝えていくには、自らが教祖様を求め、御取次を頂いていくこと、隊活動を通して子どもたちに願っていく中で活動を進めさせていただくこと、連盟活動を通して活動の輪を広げ、切磋琢磨していく中で自らが成長していくことが必要である。我ら金光大神一乃弟子、自ら神様に心を向け、天地に生かされ生きている私たちであること、おかげを頂いている私たちであることに気付くことで、子どもたちに教祖様の生きられた道を伝えていくことができるよう活動を進めていきたい。