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2016年度総論

2015年は社会情勢について不安を感じる事が多い年であった。
1月に起きたISILによる日本人殺害事件では、殺害の様子などがインターネット上で公開され、人々に衝撃を与えた。また、内戦が続くシリアからは多くの人が遠くヨーロッパへ逃れており、誰もがその様子から只ならぬことが現地で起きていると感じるものであった。フランスでは1月のシャルリー・エブド本社での銃撃事件、そして11月のパリでの同時多発テロにより、多くの人が亡くなるという痛ましい事件が起きた。
日本においては集団的自衛権を一部認める安全保障関連法が成立した。各地で連日デモが開催されており、日本の自衛の在り方について不安を感じている人も多いのではないだろうか。
一方で明るいことも多かった。
科学においてはノーベル物理学賞に梶田隆章氏が、生理学・医学賞に大村智氏が受賞され、昨年に続く日本人の受賞に日本中が沸いた。また年末には113番目の元素の命名権が日本に与えられた。アジアで初めてとなったこの快挙に、日本の技術の精度の高さを改めて感じることができた。
スポーツにおいてはイングランドでのラグビーワールドカップにおいて日本チームが敢闘し、強豪である南アフリカ共和国に勝つという快挙が起きた。年末には長年日本女子サッカー界を牽引した澤穂希選手が引退試合である皇后杯の決勝戦において優勝に繋がるゴールを決め、有終の美を迎えられた。ともにスポーツを通して日本中が湧きあがった瞬間であった。

そのような現代の社会や世界の情勢の中で、教団では、立教150年のお年柄に教主金光様がお示しくださった「神人の道」のおぼしめしをこれからの大切な指針といただかれ、神と人とがあいよかけよで立ち行く「神人の道」が一人ひとりの生活に現わされる信心実践の展開を願って、「神人あいよかけよの生活運動」が展開されている。

その中で、金光教フォーゲルは、本年度も「子どもたちに信心を伝える」という願いを前面に打ち出して、活動にあたりたい。生神金光大神様が求め現わされた、神様と共に生きるという大切な生き方を、今の時代に生きる子どもたちと向き合いながら、伝えていくフォーゲル活動を一歩ずつ進めていきたい。
それを進めていく上で大事にしたいのは、まず第一に、活動を進める上での私たちの願いと神様の願いとが沿っていくことであり、どんな状況でも神様と共にさせていただくという気持ちである。各隊では、色々な形で子どもたちに向けた集会が展開されている。その目に見える活動の裏に目に見えないリーダーたちの願いがどこにあるのか、そして、その願いは神様に向けられているかを意識していきたい。また、集会やリーダー同士の会議など、やっていく中でたくさんの問題や課題が生まれる。自分たちの力だけでは進むことができない内容がある。そんな時に神様の願いをいただきながら、神様にお願いしながら、活動させていただくことができる私たちになりたい。
もう一つは、「広げる」という意識である。私たちが得てきたもの、成長させていただいてきたものを、今フォーゲル活動に来てくれている子どもたちだけでなく、周りにいる一人でも多くの子どもたちに伝えていく意識を持ちたい。そう願っていく中で、ここ数年の内に東日本に新しい隊が誕生し、また一つ子どもたちの育つ環境が増えたことはとても有難いはたらきであった。さらにこの数年は、活動隊に勢いがつく動きや休止している隊へのフォロー、フォーゲル外への伝導、はたらきかけを着実に展開していきたい。

これらのように「神様と共に、子どもたちに信心を伝え、広げる」という願いを活動全体に表していく中で、特に力を入れて進めていくことに「隊の活動の充実」と「リーダー自らが信心を求めること」という2つをあげる。
「隊活動の充実」については、今一度、隊活動を通して隊員が育っていくはたらきを目指していきたい。一人の隊員が信心していく人に育っていくには、何もないところでそうなるものではないと思う。まずは、リーダーたちの「隊員に育ってほしい」という強い願いや祈りがあってのことであると思う。隊員一人ひとりにかけられたその祈りの中で、隊員たちは居心地のよさや安心感、愛されているという実感、認められる喜び、などを得て、すくすくと素直な心が育っていくのではないか。また、活動の中で得られる充実感や達成感は子どもたちが育つための大きなエネルギーになると思う。さらに、幼いときから教会に行くこと、参ること、ご神前に向かうこと、先生とお話すること、お広前や教会で時間を過ごすこと、神様のお話を聞くことなどのあらゆる経験が、隊員と神様をつないでいく働きになるのではないか。このように隊員たちがお育ていただいていく環境を、隊活動を通して提供していきたい。そして、この隊活動での成長というものは1回の集会の繰り返し、継続が大切であり、地道に取り組んでいくべきことである。隊員一人ひとりのことを思いやり、一歩ずつ成長していく姿を見守り、祈り、働きかける活動を目指していきたい。
また、「リーダー自らが信心を求めること」に強く取り組んでいきたい。自らが神様を求めていく中で、体験、実感したことこそ、本当に子どもたちに「伝える」ことができるというものではないだろうか。また、子どもたちはリーダーのことをよく見ている。信心を求めている姿勢が、子どもたちには伝わっていくのではないか。子どもたちと共に求めていき、共に成長していきたい。

このような願いの中で、フォーゲルの現状は、昔と比べれば隊員リーダー共に少なくなっている。しかし、そこを見ていくのではなく、願い祈っていくことを続けながら、絶えず生まれてくる希望の光を活かしていきたい。その光は神様からいただいたはたらきであり、私たちはフォーゲルを通して神様のお役に立たせていただきたい。これまでも、これからも、今を生きるお互いが仲間となって、一生懸命になって、求め、知恵を絞り、方途を見出し、現場で動き、一歩ずつ地道に推し進めていくことに努めていきたい。5年後のフォーゲル70周年を見据え、元気にお育ていただくフォーゲルを1年1年展開していきたい。